tukamoto-06 of ANGLER'S CHANNEL


全ての釣り人へ

2013-09-02

2009.02.03

魚との接点

釣種に問わず、タックルの中で最も大切な物、魚と釣り人の唯一の接点であるハリは、各魚種や釣方毎に様々な進化を遂げてきた。それはバスフィッシングにおいても同様で、現在では多種多様の形状のフックが登場し市場を賑わせている。今から十数年前、フッキングによるラインの引っ張り方向とポイントの貫通方向を一直線で結んだワームフックが登場した。力の掛かる方向を直線状にする事はパワーロスを無くし、丈夫な上顎を貫通する為には画期的な理論として、多くのメーカーはこぞってこのコンセプトの取り入れたワームフックを発表した。それによってこれまで主流だったノーマルオフセットタイプやストレートタイプはすっかり姿を消す事になった。

このタイプのフックを使用する際、ポイントを貫通させてワームの背にポイントを沿わせるようにしなければならないと言われている。しかしこれによってテキサスリグは本来の目的であるスナッグレス性能を著しく低下させる事になる。テキサスリグの本来の目的とは、グラスやウッドのカバーに対し、コーン(円錐)型のスリップシンカーと、フックポイントをワームに埋め込む事で高いスナッグレス効果をもってカバーの中へアプローチが可能であるという事。仮にポイントをもう一度ワームの背に埋めて隠した所で、キャストやカバーとの接触によって簡単にワームは裂け、ポイントが露出してしまう。これでは細かいグラスやブランチをスリ抜ける事は出来ない。そうなると自然とキャストは濃いカバーを避け、テキサスリグ本来の用途とは違うものになってしまう。そもそもワームの中に埋め込むとフッキング率が落ちるという事は「売り」である貫通能力を証明する事が出来るのだろうか。確かに魚がシンカー及びアイの間を強く正確に噛んでくれればポイントは貫通能力を発揮出来る。しかし、小さな固体ならまだしも大型の固体はリグを丸ごと吸い込んでしまう。そうなればフッキングの際、最初に魚の口に触れるのはシンカー。コーン型のシンカーがこじ開けた隙間をアイ、ポイントの順で通過する事になる。つまり、シンカーが魚の口を抜けた直後、ポイントが抜ける前に素早く噛み直してもらう事が必要だ。果たしてそんな事が可能だろうか・・・。もしそれ以外でフッキングを期待するなら、リグを咥えた魚が反転するのを待って、唇の端に掛かってくれるように長いストロークのフッキングを行うしかない。

anglers channel 006.jpg餌釣りとワームの釣りは物理的に考えて同じではないと思う。チモトに結ばれたハリス、身切れの良い餌に対し、スリップシンカーとリングアイ、身切れの悪いワームとポイント立ちの悪いロングシャンク。ワームの釣りは餌釣りに比べて圧倒的不利な条件が揃っている。かといってバスの大きな口に餌釣り用の小さなハリを使えば、どんなに深くバイトしてきても口唇の皮一枚という掛かり具合になってしまう。それを「皮一枚でも獲れる」と判断するか「皮一枚でしか掛からない」ととるかはアングラー次第だが、出来ればより深くフッキングさせたいと思うのは全てのアングラー共通ではないだろうか。キャロライナリグやドロップショットリグならまだしも、大型のワームを使うテキサスリグなら当然だ。

大型の固体を釣ると、その大きな口にいつも感心させられる。バレの少ないフッキングを理想とするならば、この大きな空洞の壁にポイントを突き立てなければならない。それも出来れば硬い歯の奥の柔らかい所へ。そしてもしカバー付近でバイトがあったのなら、魚が反転し走り出す前に一気に引き剥がしたい。その為には魚がこちらを向いていてもスッポ抜ける事無く口腔内の壁面に掛けなくてはならない。こうした条件で考えると、忘れ去られた昔のワームフックは実に理に適っていたと言える。ラインの引っ張り方向に対し、常に外向きに角度のついたポイントの向き。これは「引っ掛ける」という事に極めて特化した形状だ。もしイメージ出来ないのならランディングギャフや製氷工場で使う手カギを思い浮かべるといい。もしもギャフのポイントが柄と直線上にあったらどうだろう。確かに少ない力で貫通するかも知れないが、直線状に並んだ柄とポイントの間に入る物しか掛ける事は出来ない。大型魚のドテッ腹に射ち込める事は、ギャフのポイントが外を向いているからに他ならない。こうした疑問は一部のアングラー達の間で幾度も話題になってきた。海外でもストレートフックや昔のオフセットを見直す動きは近年活発化していたし、国内でもこうした海外精のフックを使う人は増えてきた。しかし、時代の中で反主流を唱える事はメーカーにとっても避けたい事だったろう。そうした中で大した名も無いアングラーと真剣に向き合ってくれた「OWNERばり」には感謝したい。これまでは新品のフックを一本一本曲げてから使っていただけに、そのデザインを「バルキースピア」と「スキニーリップ」として採用してくれた事は非常に光栄な事だと思う。よりパワーロスを防ぐフッ素加工が、これまでよりも気軽に、精度の高いワームフィッシングを可能にしてくれる。

anglers channel 005.jpg最後に、このアッパーポイントのフックを使う場合には、ポイントをワームの中に埋めて使って欲しい。これはここ十数年の間にバスフィッシングを始めた人には結構抵抗があるようで、むしろ昔のストレートやオフセットを使った事がある人の方が抵抗なくセット出来るようだ。もしフッキングパワーに心配があるのなら、ポイントを何度か貫通させ、ポイントの通り道を作ってやるといい。そうしておいてポイントを完全に埋め込めば、テキサスリグ本来の完全スナッグレスでありながら、ダウンストリームのアプローチではそのまま向こう合わせで掛かってしまう程のフッキング性能を体感する事が出来る。